毎日の練習を効果的なものにするために
- Music School AMBER
- 2024年5月9日
- 読了時間: 7分
こんにちは。
Music School AMBERのまつもとあきこです。
ときどき質問されることで、
「教本は何を使えばいいですか?」
「毎日の練習は何をすればいいですか?」
というものがあります。
それぞれ合った教本や練習メニューがあるかと思うので、これさえやればOK!みたいなものはなかなか言えないんですね。
ごめんなさい。
ただ、こういうことに気をつけたら皆さんの練習がもっと効果的になるんじゃないかなあ、と思うことがよくあるので、その辺を考えてみました。

ちゃんと楽器持ってる?
日々忙しい中フルートの上達のために練習しているかと思います。
上達したい、今日より明日はもっと満足いく演奏ができるようになりたい、
そう思って取り組まれている方も多くいらっしゃることと思います。
音色づくり、ブレスコントロール、音階練習など練習メニューに工夫を凝らして日々努力されているなら、音を出す前に考えて欲しいことがあります。
それは
フルートの持ち方と姿勢
初めて楽器を持ったときには、先生や先輩からアドバイスをもらって、あるいは独学で試行錯誤して身に付けたと思います。
それが自分になじんで ❝ 楽器を持つときはこんな感じ ❞ というものが定着したのではないでしょうか。
でももしも思うように上達しないとか、いつも同じことができないと感じることがあったら持ち方と姿勢が正しいのか疑ってみてください。
指の難しいところを練習するときは、何度も何度も繰り返し練習しますよね。
真面目な人ほど、何十回も。
できないと、どんどん指や腕に力が入る、楽器の位置がずれる、姿勢が前のめりになって崩れるなど、そういうことが効率的な体の動きを妨げていることも多くあります。
その崩れた持ち方や姿勢でできるようになってしまうと、それがくせになってしまいます。
この崩れてしまった形をリセットするのはとても難しいことです。
緊張した場面ほどよみがえってきますから、リラックスした練習の時はよくても本番では結局ミスをしてしまうことがあります。
本番が立て込んでいてそんなことから見直すことなんてできない!という方もいると思いますが、お時間ができたら一度見直すことを検討してみてはいかがでしょうか。
私は学生のころミスするのは練習不足だと思い、たくさん練習をしました。
練習量でカバーできると思っていました。
しかし練習では問題なくできるようになっても、本番では満足のいく演奏がなかなか出来ずいつも悩んでいました。
おそらく力づくでなんとかできるようになったつもりでいただけだったのでしょう。
その後、出産と育児で楽器からしばらく離れる期間がありました。
練習時間が減り気持ちばかり焦っていました。
でもこの期間があったおかげで、またフルートを手にした時に、一から楽器の持ち方、口への当て方、姿勢など音を出す前の体について目を向けることができたのだと思います。
ベネット先生の師匠、ジェフリー・ギルバートのレッスンについて書かれた本
アンジェリータ・スティーヴンス・フロイド著
「フルート奏法成功への鍵~ジェフリー・ギルバートのレッスン・システム」
この中では持ち方と姿勢について多くページを割いて説明されています。
持ち方と姿勢がその後の上達に大きく関与するにもかかわらず、そのための時間を多く割かれていないことに注目して、
❝多くの若いフルーティスト達が楽器をどう持ったらいいのか教えられていない❞
とフルートの持ち方を正しく身に付けることがとても重要であるとジェフリー・ギルバートが考えていることが書かれています。
音階練習してる?
楽器の練習で大切なことはなんでしょう?
音色づくり?
テクニック?
いろいろ思い浮かびますが、結局総合的に底上げするために日々何をしなければならないのか悩んでしまいます。
私がおすすめするのは
音階練習
音色
音程
指の動き
タンギング
ブレスコントロール
などなどいろいろな項目があるとは思いますが、音階練習でこれらのことを磨くことができると考えています。
ここで質問です。
Q.音階は機械的に練習するもので、音楽的にする必要はない思いますか?
上記でYesの人へ次の質問です。
Q.曲は音楽的に演奏するのに、音階の時は機械的していませんか?
Q.曲の中のスラーやアーティキュレーション、ダイナミクスには敏感なのに、音階練習を無表情で吹いていませんか?
ミシェル・デボストの 『フルート演奏の秘訣(上・下)』の中の『音階ゲーム』では実に様々な表情で音階練習をするアイデアが詰まっています。
私はアカデミーのスケールクラスのレッスンで次のような体験をしました。
20人位のフルート専攻の学生が集まったクラスで、一人ずつ先生からお題をもらいます。
「ハ長調を大ホールで2000人のお客さんの前で演奏するように」
とか
「ロ短調をとても悲しみを感じて演奏する」
とか…
一人一人みんなの前でお題の通りに音階を吹きます。
終ると学生から感想などを言ってもらい、最後に先生からもアドバイスを受けます。
(私はあまりにうまくできなくて、いつも落ち込むクラスでしたが)
音色づくりと言えば「ソノリテについて」(M.モイーズ著)ですが、ソノリテは音階でできています。 音階練習ももちろん美しい音を意識して練習して、音色も同時に磨いていくことができるのではないでしょうか。
これは留学中のレッスンの時のベネット先生の言葉です。
「下宿の部屋で音階の練習をする時は、家主に『あら、美しい曲ね。何ていう曲かしら?』と聞かれるくらい、美しい音階を演奏しなさい」
と言われました。
音階練習やエチュードと曲を切り離して考えないようにとの教えでした。
私は音階練習が大嫌いで、全然やらないまま突き進んでしまいました。
アカデミーでのスケールの試験のために初めて真面目に取り組んだくらいです。
24調がどれも(アルペジオも3度も)スムーズにできるようになるのには1か月かかりました。
でもできるようになった後、練習していなかったコンチェルトもエチュードも難なくできるようになっていたのです。
全体の実力の底上げになったと実感した練習でしたので、皆さんにも自信を持っておすすめきます!
ちゃんと練習してる?
ではどんな風に音階練習をしたのか、私が気を付けたことをご紹介させていただきますね。
必ず間違えないでできるようにしました。
当たり前のことなのですが、ヒヤッとしたとか、ぎりぎりまあいいか...とかもNGです。
心に決めたのは
「自分にうそをつかない」
メトロノームをかけて、日々少しずつ速くしながら取り組みました。
(練習ノートを作って毎日何調を四分音符いくつの速さでやったのかメモしながら)
昨日より1つでも速くなることを目標にして練習しました。
昨日はできたのに今日はできない、そんな日もありましたが、そんな時はまた遅く戻してやり直しです。
できていない自分に気づかないふりをしないで、できていない自分も受け入れながら練習しました。
1回出来ただけではまぐれかもしれないので、連続5回出来たら次の速さに進む
正直に
無理をしないで
そして音楽的に、ブレスの場所も気を付けて
いい音で
アーティキュレーションを入れる時は正確に
私は長い間できていないことを放置してしまったので荒療治的になってしまいましたが、まだ初級の段階の人は、はじめから自分をごまかさないで練習に取り組むことができると思いますよ。
あとは、録音録画をとりながら練習すると、あとから聞き(見)返した時にいろいろ気づきがあると思います。
便利なものはどんどん使うといいですね。
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