嫌いにさせないで
- Music School AMBER
- 2020年10月28日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年12月29日
こんにちは。
Music School AMBERのまつもとあきこです。
お母さんご自身が小さい頃何か楽器をされていたり、
さらにそれがとても上手だったりすると、
お子さんにもさせたいなあと思うかと思います。
でもお母さんの子供時代の練習の体験が
辛い思いの上に成り立つ成功体験だとしたら…
「楽器演奏の習得には苦労や努力がつきもの」
「うまくいかないのは努力不足だ」
と、厳しく接してはいないでしょうか?
楽器の習い事を嫌な思い出にしないで欲しい、
できる喜びの前に、できない悲しみや挫折を味わわせないで欲しい、
音楽を丸ごと嫌いにさせないで欲しい、
そんな気持ちで書いてみました。
ぼくはお姉ちゃんやお母さんみたいに
音楽上手にできないの
「私の子なら音楽させなくちゃ」
「せっかく私のところに生まれたんだから何かしら楽器ができるように育てなくっちゃ」
こう思っていた時がありました。
本当に勝手な親です。
長女は小さいうちはピアノもバイオリンも頑張っていました。
インター校にいた時は音楽の授業に弦楽合奏を選んで、
中学時代はコンミスもさせてもらうこともあったくらい頑張っていました。
一緒に演奏できるいいお友達に恵まれたことも大きかったと思います。
でも日本に帰って来て高校受験で時間も体力もなくなり、
高校での生活が始まってもバイオリンを再開する余裕は生まれませんでした。
というか、再開したくならなかったんでしょうね。
そして違うものに興味が移っていきました。
長男は私に言いくるめられてバイオリンを始めました。
小さいうちに経験した方がいいと思ったからです。
音楽はそもそもあまり得意ではなかったと思います。
でもよく頑張っていました。
下には手のかかる小さい弟もいたので、
バイオリンの練習は私と二人で過ごせる時間になりました。
お母さんを独り占めできるからと、頑張ってくれていたのかもしれません。
でもある時、どんなにやっても思うようにできなくて、泣きながら言ったんです。
「ぼく、お姉ちゃんやお母さんみたいに音楽上手にできないの」
これを聞いて、ハッとしました。
私の勝手な思いでやらせていたんだなと気付かされたのです。
もともと男の子らしい遊びが好きな子です。
恐竜やレゴや運動が好きな子が、私の誘いに乗って
3年ほどバイオリンを習ってくれました。
本当に息子はただ私に付き合ってくれていたんだと思いました。
この後やめさせようと思いました。
なのに、決断するのにも苦しみました。
「せっかくここまできたのに」
「お月謝かけてここまでやらせてあげたのに」
のにがついてはいけないんですね。
本当にみっともない母親です。
でも、
「音楽を嫌いにならないで欲しい」
この思いが1番の決め手でした。
息子にとっての挫折の出来事にしたくありませんでした。
この後すぐに発表会があったので、それを機にやめることにしました。
「いつでもやりたくなったら、またやっていいからね」
と伝えて。
音楽を嫌いにならないで欲しいと願って
「バイオリンは卒業」
ということになりました。
「お母さんは練習の時、すごく怖かった」
と今でも二人は言います。
きっとすごい顔していたんでしょうね。
だから二度と「音楽をしたい」と言いだすことはないだろうと思いました。

でもそんな子たちが大きくなってちょっと様子が変わってきました。
長男は
「ベートベンとかドボルザークのオーケストラのCD貸して」
とか
「久しぶりにバイオリン弾いてみたいんだけど」
と言うんです。
長女も近頃は気になる曲を耳コピして、バイオリンで弾いています。
私にピアノで伴奏をつけて欲しいと言ったりもします。
久しぶりに一緒にアンサンブルすることもあるようになりました。
本当に楽しい時間です。
「ああ、この子たちは音楽を嫌いにならないでくれたんだ」
とホッとしています。

今回お伝えしたいことは何かというと、
どうか音楽を嫌いにさせないで欲しい
ということです。
嫌いになるくらいなら一度離れた方がいい
それくらいに思います。
今我が家の子どもたちはそれぞれ音楽以外のことに打ち込んでいます。
でも音楽は今も大好きです。
クラシックからポップスまで、なんでも聴きます。
楽器も人前で演奏したいわけではないようですが、自分時間を楽しむ程度に。
人生が豊かになる一つとして、音楽が側にあればいいなあと思うんです。

Commentaires